性や開発コストの高さなどから政府による支援が積極的に行われ、欧州では欧州宇宙機関が、米国ではNASAや軍が、開発費や初期需要などを負担しているという背景がある。1996年6月に発表された「宇宙産業基本問題懇談会報告書」では、わが国でも自前の宇宙産業の保持が不可欠であり、年間の予算規模が米国は日本の16倍、欧州は3倍という格差を是正するには、競争力を維持できる程度の予算が確保されなければならない。また、参入する分野も、現在熾烈な受注合戦が展開されている既存の静止衛星市場ではなく、今後市場の拡大が期待される中低高度周回衛星の分野でのキーコンポーネントの実績を築くことが重要であると述べている。そのためには、宇宙産業の利用を促進するよう、宇宙を利用した情報化の推進やインテリジェント交通システムの検討など関連事業部門と有機的に連携し、積極的な事業展開を図っていくことが重要である、との提言をしている。